9月20日の金曜日に発表された、政府による不良債権買い取りに救済を好材料に、ダウなどの株価は週始めの指標まで回復した。これまでのツギハギではなく、今回の金融不安を根本から直そうというものである。財務省の発表では総額7,000億ドル(約74兆円)を上限として、不動産ローンと不動産ローンを担保にした証券を、証券会社や銀行から買い取ることになる。議会の承認が必要だが、現況を考えると早急に承認されると思われる。この7,000億ドルという額はアメリカの年間の国防費を上回る規模になる。この結果、今年既に2回引き上げられ11兆3,000億ドルになっている国の借金の上限額がさらに引き上げられる予定である。議会では、この不良債権買い取りに関して、どういう査定をするのか、売却側にどのような条件を付加するのかなど、細部はこれから調整されなければならない。基本的には、不良債権がなくなれば、金融機関は持つ資産運用が潤滑化し、新規の貸し出しが増えるため、企業や不動産業界も活性化する筈というわけある。しかし経済状態が上向いている時ならともかく、今後不動産不況、金融業界などの失業者の増加、個人収入の減少などを考えると、さらに不良債権が増えることはあり得る。日本のバブル崩壊後の不良債権処理を振り返っても、どこが底なのか見通しがたたなかったのが現実である。2001年9月末の時点で、日本の銀行が抱えていた不良債権が3,680億ドルだったと報道(New York Times )されているが、結果的には確か100兆円以上かかった記憶している。(*資料が見つからなかったので、どなたか持っていれば教えてください)。アメリカの80年代終わりのSavings & Loan Associationの不良債権処理も、現大統領ブッシュ氏の父親である当時のブッシュ大統領が、レーガン大統領の景気浮揚策の後始末で、当初500億ドルの予算でRTC (Resolution Trust Corportaion)という機関を創設した。1989年から1995年の間に747の金融機関の清算、担保物件の処理を行い、結果的には、875億ドルの費用がかかったとFDIC(Federal Deposit Insurane Coporation)で報告されている。このくらいの割合でいくと総額1.2兆ドル、日本の例なら2兆ドルということもあり得る。アメリカの住宅のローン残高は約11兆ドルと言われており、その10%が焦げ付いただけで1兆ドルを上回る。サブプライムの焦げ付き率は25%、その下のアルタAで15%と言われている。個人だけではなく、商業不動産も今後の景気後退で焦げ付く可能性があり、先が見えないのが現状であろう。現在9兆7,000億ドルと言われるアメリカの国の借金はそれでもまだGDPの40%ほどだから、今回の整理で10%増えたとしても、日本の150%にくらべるとまだましなのかもしれない。 *週末のニュースで、モーガン・スタンレイとゴールドマン・サック社が、銀行の持ち株会社に移行するよう申請したそうである。これでアメリカの5大大手の投資銀行・証券会社は全て姿を消すことになる。
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