12月 28, 2008 経済 0

9月のリーマン・ブラザースの破綻後、アメリカ経済の問題点のひとつを指摘した。生産を上回る消費によって起こった貿易赤字で流出するドルを、いかに高い配当率でアメリカに環流させているかという問題である。その後、この問題はアメリカだけではなく、先進国を含む多くの他の国を巻き込む、世界的な金融不安、そして同時景気後退を招く結果となっている。これは問題の根本がアメリカにあるだけではなく、その問題自体がアメリカの強みとなって世界経済へ影響している事を示している。つまり、アメリカの金融業界の先進さが、世界中の資金運用のかなりの部分を吸収しているという事実である。先進国であるが故に、ヨーロッパなどでは甘んじられてきた低い成長率を、アメリカの金融産業が比較的高いものに替えてきた事実である。コンピューター産業とともに、アメリカの成長を担ってきた金融産業が、その高い成長率を維持していくために、さらに高いリスクを負う事になり、結果的に崩壊してしまったのである。国勢調査局のデータを元に一部を検証してみたいと思う。添付の表は、1997年と2002年の代表的な産業の企業数、総売上、人件費の総額、従事者の総数である。製造業の売上は2.1%しか伸びておらず、従事者の数、人件費をみると平均収入が下がっていることが分かる。この5年間で国内総生産(GDP)は約8.5兆ドルから9.9兆ドルと16.9%成長しているから、製造業自体は相対的に減っていることになる。卸業、小売業、運輸業はGDP以上の伸びを示しており、アメリカのサービス経済がさらに進んでいることを表している。情報関係、不動産、専門職、教育、医療関係も高い伸びを示しており、生活レベルの向上を示している。一方金融業界は、売上の伸びとともに、人件費はさらに高い伸びを示している。これは、従事者の数にくらべて、一人当たりの報酬が急増している、つまり優秀な人材が増えたか、報償ボーナスが多かったか、又はその両方で、業界自体の成長とともに業績も上がっていることになる。さらに注目すべきは、金融業界の売上である。卸し、製造、小売に次ぐ規模を持っているのである。このデータだけを観ても、アメリカの金融業界がいかに大きなシェアを持ちアメリカ経済に大きな影響を与えているかが分かる。そしてそのノウハウがが、世界中の資金のかなりの部分を集めて運用するという図式となっているのである。このデータは一部であり、さらに長い期間の情報を加えられれば、さらに明確な推測が可能と思われる。非常に先進的な金融商品を生み出し運用してきた、比較的新しい業界として、それ故に、十分な経験則、リスク・ファクターの考察などがおこなわれていなかった弱点が一挙に発覚した結果が世界金融不安なのかもしれない。バブル経済自体は、17世紀のオランダのチューリップ・バブルに始まり他にも例は多いが、今回のアメリカの不動産バブルは、それだけではなく他の多くの要素を含んでいると思われる。