DVDレンタル、ストリーミング・サービスのネットフリックスが第4四半期の業績を発表した。売上は34%増加して5億9,600万ドル、営業利益は47%増加して7,800万ドル、純利益も52%増加して4,700万ドルと好調である。契約者の数は、308万増加して2,001万となっている。今年度全体での契約者増加数は770万となり、同社の予測の360万の倍以上となった。要因はストリーミング・サービスのコンテンツが増えた事など、また昨年11月から始められたストリーミングだけの月額$7.99のサービスの人気が高かった事である。多くの映画会社と合意されたDVD販売後28日の貸出保留期間は、月額で契約しているネットフリックスの契約者にはあまり影響が無かったようである。また、ストリーミングは、個々の映画会社との契約によっては、発売後すぐに提供されるものも多いため、同社に有利になるようである。昨年進出したカナダは、今年度の第3四半期には営業ベースで黒字化が予測されており、今年後半には2番目の外国(メキシコと思われる)に進出する予定である。結果今年の下期は国際部門で5,000万ドルほどの損失を予測している。ストリーミングが再生可能な機器も、ラップトップ、ゲーム機、テレビ、だけではなく、アップルTV,アイフォーン、アイパッド、アンドロイド・フォーンなどに広がっており、今後はパーソナル・ベースの契約によるマルチ・ストリーミング・サービスなどを計画している。
国勢調査局の推定によると、2010年のアメリカ全体の世帯数は1億1,480万ほどで、既にアメリカの世帯の17.4%がネットフリックスと契約している事になり、近い将来その伸び率は減少すると思われる。その対応が国際進出であり、スマート・フォーンなどを対象としたパーソナル・サブスクリプションだろう。一方利益構造だが、12月で終わる2009年と2010年の第4四半期を比較すると面白い事が分かる。1人当たりの収入は$13.04から$11.64に下がっており、利益も$4.96から$4.01に下がっている。つまり契約者1人から得る収入が減っており、さらにストリーミングの増加によってコストも上がっているのである。結果粗利は38.0%から34.4%まで下がっている。これが営業利益の伸び率が契約者数に比例していない理由である。その為、ネットフリックスはマーケティングの経費を15.9%から10.5%にまで削ることで、営業利益率の減少を緩和している。CEOのコメントでは契約者数の増加→コンテンツの拡張と仕入力→新規の契約者という成長の循環を述べているが、これまでの成長を続けるのは難しいだろう。ストリーミングが増えれば、テクノロジー関係のほとんどをアマゾンのAWS(クラウド・サービス)に頼っている為コストも更にあがるだろうし、インターネットの帯域利用料がISPによって課されはじめているという問題も抱えている。また、フールー・プラス、HBOゴー、アマゾンなどとの競争もある。ネットフリックスとしてみれば、DVDレンタルというビジネス・モデル自体が近い将来通用しなくなるかも知れないという環境で、いかに、2,000万の顧客ベースを武器に、今後の新しいコンテンツ配信競争で生き残っていかなければならない使命をもっているのである。
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オンライン販売最大手のアマゾン・ドット・コムは、12月31日で終わった第4四半期の業績を発表した。売上は35%増加して129.5億ドル、純利益も8%増加して4億1,600万ドルだったが、営業利益は為替損が1,800万ドル影響し0.4%減少して4億7,400万ドルだった。また、2011年の第一四半期の業績予測では、売上が28%から39%増加して91億ドルから99億ドル、営業利益は34%から2%減少して2億6,000万ドルから3億8,500万ドルとなっている。このニュースの後同社の株価は8.8%程下がっている。今期のハイライトは、キンドル・ブックの売り上げがペーパーバックスを初めて抜いて、15%上回った。また、ハードカバーの3倍の数を売っている。キンドル・ストアは81万タイトルを在庫しており、ニューヨーク・タイムズのベストセラー112タイトルのうち107を扱っている。ベストセラーの74タイトルを含む67万タイトルは$9.99以下で売っている。その他にも著作権の切れた1923年以前の電子書籍を数百万タイトル無料で提供している。キンドル・アプリによって、購入した書籍を複数の機器で読めるようにしている。アイフォーン用に価格比較のプライス・チェックと呼ばれるアプリを発表し、12月だけで200万回以上使われた。今年も倉庫やデータ・センターなどで8億5,100万ドルほどの設備投資を行うと推定されており、トップラインの成長は疑いのないものだが、利益率の減少が株価を下げている要因である。ビジネス・ワイア
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アメリカの12州で46カ所ほどの家電専門店を展開していたアルティメート・エレクトロニクスは、連邦破産法第11章を申請した。資産、負債合計とも1億ドルを超えると発表されている。この倒産申請は、売上が伸び悩み、サプライヤーの一部が商品の発送を拒んだ為行われたと説明されている。ブルームバーグ
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[…] 調査会社であるIHSスクリーン・ダイジェストによると、2010年のインターネットでの映画の購入及びレンタル額は3億8,500万ドルとなり、始めてテレビ番組の購入・レンタル額の3億6,600万ドルを上回った。2009年は、テレビ番組が2億9,500万ドルで、映画の2億8,000万ドルより多かった。この結果は、ビデオ・ゲーム・コンソル、セット・トップ・ボックス、アイパッドなどダウンロードによる視聴機器が急増している事と、フールーなどによるテレビ番組の無料ストリーミングが増えているのが要因とみられる。これらのディジタル市場の成長の影で、家庭での娯楽市場は3%減少して188億ドル、DVDのレンタルと売上の総額は11%減少して140億ドルとなっている。ディジタル映画の市場は、アップル社のアイチューンがトップで64.5%(昨年は74.4%)のシェアを持っており、マイクロソフトのXボックス360・ビデオ・ゲーム・コンソルが17.9% (11.6% )、ソニーのプレイステーション3が7.2%(5.7%)と続いている。昨年ブードゥーを買収したウォルマートも、昨年11月からこの市場に参加している。また、アマゾンもオンラインの映画ストリーミング・サービスを準備中とリポートされており、競争が激しくなってきている。このアマゾンのサービスは月間契約となり、ネットフリックスのサービスと直接競合することになる。これまで急成長を続けてきたネットフリックスにとっては、脅威となるかもしれない。ロサンゼルス・タイムス カテゴリー: ディスカウント・ストア, 娯楽レンタル・販売, 流通業 — admin 4:53 PM トラックバック […]