2月 22, 2011 ディスカウント・ストア 流通業 0

ウォルマートは131日で終わった第4四半期の業績を発表した。売上は2.5%増加して1,156億ドル、経常利益は7.3%増加して80億ドル、純利益は50.2億ドルだった。一方既存店の売上は、ガソリン販売を除いてウォルマートUSAが−1.8%、サムズ・クラブが+2.7%、国内全体では−1.1%だった。通年では、総売上が3.4%増加して4,190億ドル、経常利益が6.4%増加して255.4億ドル、純利益が6.3%増加して153.6億ドルだった。既存店売上は、ガソリン販売を除いて、ウォルマートUSAが−1.6%、サムズ・クラブが+1.7%、国内全体で−1.1%となった。通年の部門別の売上、経常利益は次の通り(増減):

  • ウォルマートUSA 2,603億ドル(+0.1%)199億ドル(+3.1%)
  • ウォルマート国際 1,092億ドル(+12.1%)56億ドル(+14.4%
  • サムズ・クラブ 495億ドル(+3.4%)17億ドル(+12.9%)

CEOのマイク・デューク氏は、「利益率の改善には満足しているが、ウォルマートUSAの売上不振を踏まえ、USAのトップであるビル・サイモン氏が進めている4つのポイント(下記)の売上改善策が思ったより時間が掛かっている。国際部門は、成長源となっている」と述べている。

  1. EDLP:バスケット価格での低価格を推進
  2. 品揃えの拡張:消費者の求める商品を、幅広く、最低価格で在庫する
  3. 店舗改装プログラムの生産性を改善し、部門やカテゴリー別で最適な売場を実現
  4. マルチ・チャンネル販売:消費者の好みに応じたマルチ・チャンネル販売を提供

日本の西友は、顧客によるEDLP指示と、運営の生産性向上によって、過去3年増益を続けている。第4四半期は売上、既存店売上とも3.1%増加しており、客数が+2%、客単価が+1.5%だった。商品カテゴリーでは、消費財、ジェネラル・マーチャンダイズが良く、アパレルは下がった。

USAのCEO,ビル・サイモン氏

ウォルマートUSAの第4四半期の売上では、ジェネラル・マーチャンダイズがかなりの部分を占めており、家電のデフレによって、売上数と市場シェアは増えたにもかかわらず、売上を落とした。プリペイドの携帯の売上は良かったが、歩合の部分しか売上に反映されていないため、数字には表れていない。もし売上で含めると、+0.6%の売上増となる。食品、健康とウェルネスの売上状況は良かった。食品は既存店売上で+13%の増加だった。削減された商品の再在庫と、オープニング・プライスの低い商品の在庫が効果的だった。商品の在庫調整は11月でほぼ終わった。青果の品質改善も顧客の好評を得ている。健康とウェルネスでは、主に調剤OTCの売上によって改善した。ヒュマナの調剤保険は予測以上の結果だった。諸費剤は、既存店売上が13%減少した。在庫調整は、第1四半期で終わっており、既に紙の商品などで改善が観られる。アパレルは、46%既存店売上が減少した。女性と女性のプラスサイズが良く、ジュニアが下がった。ホームは1−3%既存店売上が減少した。寝室、販促商品、床材、ダイニング関係が良く、ホーム装飾品は悪かった。季節商品は、予測を多少下回り、これは売場を分散させ過ぎた為と思われ、今後のホリデーでは、重点的な陳列に変えて改善する。玩具は既存店売上を微少に下げた。しかし、オンライン販売が良かった為、カテゴリー全体では期待通りだった。ハードラインは13%既存店売上を下げた。エクササイズ機器、クラフト、文具、書籍が良くなく、スポーツ用品と車用品が成長した為、これらの品揃えを増やしている。オンライン販売は第4四半期で、業界全体では+11%、ウォルマート・ドット・コムはそれ以上成長した。

今後、成長基盤であるスーパーセンターを拡張すると共に、新しい小売フォーマットの開店予定を早めて、2012年の第2四半期に開店する。これはルーラル地域と都会用の小型フォーマットとなり、「ウォルマート・エクスプレス」と呼ばれる。出店候補地域である、シカゴ、ワシントンDC,サンディエゴ、ニューヨークなどの消費者の前評判は悪くなく、満足している。

2012会計年度の設備投資は、改装の生産性を上げた結果、10月の予測である75億ドルから80億ドルを、65億ドルから70億ドルに下方修正する。この額は店舗の改装とロジスティックスへの投資が含まれ、110万平方フィートの売場拡張(+34%)で185カ所から205カ所の新開店となる。また、ディスカウント・ストアのスーパーセンターへの改装もすすめる。2011年第1四半期のウォルマートUSAの既存店売上は−2%〜±0%を予測している。

ウォルマート・エクスプレスが初めて正式発表された。1号店の開店場所は明らかにされていないが、シカゴかワシントンDCだと思われる。マイク・デューク氏は保守的な経営者と見え、国内のトップラインの成長はビル・サイモン氏に掛かっているようである。現在ウォルマートにとって逆風も多く、改善に時間がかかるのは分かるが、2012年中に改善が観られないとすると、デューク氏の進退にも影響するかもしれない。今年が正念場となるだろう。