ウォルマートは、オンライン・グローサリーの配達を委託していた「スキップカート」との契約を失うとブルームバーグが報じている。同紙が得たスキップカートがウォルマート宛に送った1月31日付けの手紙のコピーによると、同社は4月30日で配達契約を打ち切ると通知、その後、時期は3月末に変更され、ウォルマートは、既に他の下請け会社に引き継ぎをしている。テキサス州バーニーに本拠を持つスキップカートは、2018年末から32州にある主に小商圏のウォルマート126店舗の配達を下請けしていた。同社CEOのベン・ジョーンズによると、スキップカートは月5万件ほどの配達をウォルマートから請け負ってきたが、赤字運営だった為、利益率の高いレストランの配達ビジネスにフォーカスする、また、グローサリーの配達モデルはビジネスとして成り立たたず、全ての下請け会社が赤字になっていると述べている。実際、オンライン・グローサリー配達会社の離脱はこれが初めてはなく、デリブ、ウーバーなども過去に撤退している。
ウォルマートは、22四半期続いている既存店売上増加のほとんどを生み出しているオンライン・グローサリーに注力しており、3000店舗ほどではピックアップ、1600ヵ所ほどの店舗からは配達も行っている。配達を下請しているのは、ポストメーツ、ドアダッシュ、ローディー、ポイント・ピックアップなどで、配達費は配達時間によって$7.95 から$9.95が購入代金に加えられる。また、31州ではスパーク・デリバリーと呼ばれる契約人を使った配達も手掛けており、自動運転車による配達もテストしている。グローサリー配達は、嵩張る割には利益性が低いと言われている。しかし、顧客の利用が増えてきているのは事実で、各社いかに損をしないでサービス提供が出来るか模索している。多くのスーパーマーケット・チェーンは、インスタカートを使っているが、同社のサイズでも採算性が合うかどうかはまだ未定である。アマゾンもオンライン販売で利益を出すのに相当なインフラ投資を続けた経緯があり、プライム会員成長は採算性を実現するのに大きな要素となった。オンライン・グローサリー市場がクリティカルマスに到達すれば、利益を出すためのスケールを持った企業が生き残るだろうが、まだしばらく時間がかかると思われる。ウォルマートは、この市場の主要な小売業として、そしてアマゾンは新しい成長カテゴリーとして取り組んでいる。その陰には、淘汰される多くの会社も存在するのだろう。