2月 22, 2021 オンライン・リーテイラー 流通業 0

インスタカートは、提携小売業のオンライン購入の商品配達を主な業務として成長してきた企業だが、自社のフルフィルメント・センター建設を検討しているとファイナンシアル・タイムスが報じている。同紙によると、インスタカートの契約社員は50万人以上にのぼり、彼らは、提携小売店での買物及び配達を手がけている。特に店舗での商品ピックアップは労働集約作業として、生産性の低い部分となる。同社は昨年春、自動化されたマイクロフルフィルメント・センターを開発している企業5社以上に対して、インスタカートのフルフィルメント・センター開発に対する提案を求めている。当初は、ロボットを駆使したセンターを、1年以内に国内50ヵ所に開発する計画だと説明されたそうである。提案を依頼された1社であるアラート・イノベーションは、すでにウォルマートと提携したマイクロ・フルフィルメント・センターを数十ヵ所で開発しており、インスタカートとの提携は断った。他にもファブリックをはじめ数社と話し合いを続けているが、具体的な計画は進んでいないと、内部事情に詳しい情報筋は述べている。インスタカートは、この件に関してコメントを控えているが、600近くの小売業のパートナーをサポートするために、新しいツールやテクノロジーに対する投資にコミットしており、パートナーのビジネスの長期的な成長を考えていると述べている。モーニングニュースビート

この動きは、インスタカートのコメントに反し、パートナー小売業との直接競争を招く事になる。既に、同社は一部CPGメーカーから販促費用を得て、最終顧客に値引きやクーポンを提供しており、自社のフルフィルメント・センターを運営すれば、少なくとも生鮮以外の商品は自社で扱える。生産性と利益性は上がるが、小売業パートナーとの契約内容が変わる事になり、パートナー顧客を失う結果にもなる。ただ、インスタカートは、今年中に株式上場を目指しており、時価総額は30億ドル以上と推定されている。そのためにも、生産性改善は急務となっていると思われる。また、これまで蓄積されている顧客購買データによって、販売商品による小売業が持つ顧客アピールの有無も分析されているだろう。ブランドが決まっており、売価に魅力があれば、ウォルマートでもインスタカートでも気にしない消費者が少なくないかも知れない。ただ、自社販売の道を選んだ場合、ウォルマートとのパートナーシップは解消される事は明らかである。いずれにしても、オンライン販売の利益性改善は、小売業にとって大きな課題となってきている。