スイスの投資銀行であるUBSのアナリストによると、アメリカ小売業の4万から5万の店舗(全体ではガソリン・スタンドを除き約88万ヵ所)が、今後5年間に閉鎖されると推定している。これは、昨年の推定である8万ヵ所よりは減っており、パンデミック下でトランスフォームした小売業、そしてインフレーションによる売上増加の影響だと説明されている。この推定は、毎年、小売売上高の4%ほどの増加と、電子コマースの占有率が2026年には25%(2021年は18%)に達するとの前提である。多くの店舗を閉鎖する業種は、衣料とアクセサリー、家電、ホーム・ファーニッシングで合計23,500ヵ所となる。一方、ターゲットやウォルマートを含むジェネラル・マーチャンダイズは店舗数の増加が予測されている。アメリカには、世帯あたり58平方フィートの小売スペースがあり、2010年の62平方フィートからは減っているが、1990年の49平方フィートよりはまだ多い。コアサイト・リサーチによると、今年4月1日時点で、3,694ヵ所の新規開店、1,385ヵ所店舗閉鎖が発表されたそうである。ダラー・ジェネラル、TJX、オンライン・リーテイラーであるワービー・パーカーやオールバーズ、ヴオリ、ブルックリネンなどが新規開店計画を発表している。CNBC
商務省国勢調査局が発表した2022年3月の小売売上高は、2月から0.5%微増し、休日と季節調整済みで6,657億ドル、前年比では6.9%増加となった。2022年1月から3月までの3ヵ月間の合計額は、前年比12.9%増加、2022年1月から2月の変化は、+0.3%から+0.8%に改定された。車と用品,ガソリン販売を除くと+0.2% (前年比+6.2%)、フード・サービスを除く小売だけだと+0.4%(+5.5%)となる。
販売チャネル別売上推移は次の通り:
販売チャネル | 2022年3月/2月 | 2022年/2021年 |
車と用品 | -1.9% | -1.2% |
家具と家庭雑貨 | +0.7% | +3.6% |
家電・電器製品 | +3.3% | -9.7% |
住宅資材とガーデン用品 | +0.5% | +0.6% |
食品と飲料 | +1.0% | +8.4% |
健康美容商品 | -0.3% | +1.4% |
ガソリン販売 | +8.9% | +37.0% |
衣料とアクセサリー | +2.6% | +7.3% |
スポーツ用品・趣味・書籍・音楽 | +3.3% | -5.1% |
ジェネラル・マーチャンダイズ | +5.4% | +5.2% |
その他の雑貨チェーン | +0.8% | +13.3% |
無店舗販売 | -6.4% | +1.8% |
フード・サービス | +1.0% | +19.4% |
これら増加率には、価格変動が反映されていないので、前年比平均8.5%の消費者物価上昇分を差し引くと、前年比で増加したのはその他雑貨チェーンとフード・サービスだけとなる。一方2桁以上減少しているのは、家電・電化製品、スポーツ用品・趣味・書籍・音楽の小売となる。食品と飲料及び衣料とアクセサリー販売は、ほぼ横ばいとなる。