大手小売業の過剰在庫が問題になっているが、自社の店舗での値引き販売だけでは捌き切れない商品は、リクイデーターと呼ばれる清算会社に二束三文で処分される。現在彼らの倉庫は商品で溢れており、パンデミック中には在庫が無くなった自転車、庭の家具、ガーデン用品などが集まっている。リクイデーターは、大手小売業であるウォルマート、ターゲット、Amazonやホーム・デポなどから破格値で商品を引き取り、それを別のルートで再販する。リクイディティ・サービシスはそんな1社で、急速に増えた扱い量を処理するため、昨年11月にペンシルバニア州に倉庫を新設した。今年に入り小売売上は盛り返してきているが、インフレーションもあり、購入商品が変わってきている。衣料、ガーデン用品、家電などの需要は減っており、代わりに食品やガソリンに費やされている。また、パンデミック中にオンラインなどで購入された商品の返品も増えている。全米小売業協会(NRF)の調査によると、2021年の平均返品率は16.6%で、2020年の10.6%から急増している。額にすると総額7610億ドルとなり、これは国防費を上回る額となるそうである。大きな要因は、勿論パンデミックによるもので、サプライ・チェーン問題、巣篭もり、国の補助金などで消費動向が影響を受けたためである。また、盗難や不正な返品も影響している。根本的な問題は使い捨て消費文化で、消費者だけでなく小売業界も過剰消費を促している事実である。再販できない商品はゴミとして処理される場合も多く、環境にも悪影響を及ぼし、気候変動の原因ともなるのである。ニューヨーク・タイムス

昨日紹介した中古品の再販や、Amazonがプライム会員に提供している、衣料のプライム・トライ・ビフォー・ユー・バイ:Prime Try Before You Buy)などは、多少でもこの問題解決に役立つと思われる。しかし、最終的には消費者一人一人の将来に対する意識の問題となるのだろう。