9月 30, 2022 スーパーマーケット ドラッグ・ストア 流通業 0

クローガーは、顧客に提供しているヘルスケア関連のサービスでも、出来るだけ廉価な調剤を提供することで、インフレーション下で影響を受けている消費者をサポートしている。傘下のクローガー・ヘルスでは、1,700万人の患者の健康管理をしており、調剤の処方箋も出している。その多くは、クローガーの薬局で処方されており、これまでエクスプレス・スクリプツの会員の処方も扱ってきた。今年も、来年以降の契約更新のための交渉を続けてきたが、エクスプレス・スクリプツから提案された処方料では、運営にかかる薬剤師やテクの人件費などが賄えず、薬局の運営に影響すると判断したため、今回エクスプレス・スクリプトに対して、契約更新をしない旨申し入れたと発表している。今後も交渉は続けるが、12月31日までに合意が成立しない場合は、来年からクローガー傘下の薬局で、エクスプレス・スクリプツの会員は、保険を利用する調剤の購入が出来なくなる。

民間や国の調剤保険に加盟している人達は、その保険会社が提携しているPBM*によって、処方してもらえる薬局が限られる。別表のグラフはPBMの市場シェアを表しているが、大手3社で77%のシェアを持っており寡占化している。最近、国の保険が調剤に支払う額を削減したのを初め、医薬品流通全体での生産性向上の動きによって、各チャネルに価格プレッシャーがあり、どこも価格交渉に余裕がなくなってきている様である。CVSヘルスは傘下に健康保険会社のエトナと、PBMのケアマークの両方を持った垂直統合した組織となっており、経営的には有利だと思われる。ウォルマートは、ヒュマナと関係があるが、PBMとしてではなく、ジェネリック調剤の仕入れで提携している。今年の初めにちょっと怪我をして、医師から処方された抗生剤を、入っている調剤保険を使って、指定のCVS薬局で購入したところ、$20ほどの自己負担だった。ジェネリックにしては高いと思い、オンラインでウォルマートの現金払いの値段を調べたら、その半分ほどだった。理解に苦しむシステムである。薬剤は、アメリカでも複雑な流通構造を持つ商品の一つである。

PBM Market Share

*注:アメリカ全体で処方されている年間44億ほどの調剤のうち77%はPBM(Pharmacy Benefit Managers)が管理している。小売の薬局のほとんどはいずれかのPBMのネットワークに加盟しており、調剤の購入には無くてはならない組織である。また、フォーミュラリーと呼ばれる、調剤リストの管理をそれぞれの保健組織に代わって受け持ち、小売薬局との契約、薬剤メーカーと特別割引、リベートなどの交渉もする。保険会社を通じて加入している顧客全体の調剤購買を管理するため、その影響力は相当なもので、薬剤メーカー、特に自社の宣伝広告媒体を持たないジェネリック調剤メーカーに対しては強い立場を持っている。