「アマゾン」はプライム会員などに提供している映画やテレビのショーに対して、広告を入れると発表した。プライム会員サービスは、2005年に導入され、18年間で革新的なサービスや速い配達など様々な特典を会員に提供してきている。国内のトップ60のメトロ地域では、今年の第2四半期から即日か翌日配達を提供、これまでに18億の注文を配達しており、これは2019年の同期と比べると4倍となる。プライム会員の特典の一つである映画やショーの視聴は、会員に大きな魅力となっており、エミー賞を取ったショーも多い。このサービスをさらに充実するためアマゾンは多額の投資をしており、今後も続けるため、2024年の初めから一部広告を入れる計画である。国内、英国、ドイツ、カナダで最初に始め、その後フランス、イタリア、スペイン、メキシコ、オーストラリアで来年後半に始める。広告を見たくない会員には、1ヵ月$2.99の追加費用で広告を外す事もできる。
実質はプライム会員費の値上げとなるが、現況での値上げの悪影響を避けるために、広告で経費増加分を賄う様である。ちょっと調べてみたら、プライム会員費は2005年の導入時が年間$79、2014年に$99、2018年に$119、2023年に$139に値上げされている。一方、労働省の都会地域の物価指数は、平均で2021年に1.23%、2022年に4.7%、2023年には8.02%上昇している。2023年の会費値上げ率は17%弱となり、ウォルマート+との競争や、中国系のティームーやシーインなど格安のサイトとの競争激化などを考慮すると、2年続けての大幅値上げは難しいと思われる。また、これまでは成長の原動力となってきた、プライム会員組織に対する莫大な投資の費用対効果が下がってきているとも云える。アマゾンのビジネス・モデルも進化する必要があるのである。