9月 28, 2023 アパレル オンライン・リーテイラー シュー・ストア スペシャリティー・ストア スポーティング・グッズ スーパーマーケット ディスカウント・ストア デパートメント・ストア ドラッグ・ストア ヘルス&ビューティー 宝飾・チェーン 家電・電子機器チェーン 流通業 経済 0

全米小売業協会(NRF)は、今年で32年目となる2023年の小売業界の保安調査結果を発表した。業界でシュリンク(日本ではロス)と呼ばれる在庫額の減少率は、2021年度の1.4%から1.6%に増加した。総額1,121億ドル(2021年は939億ドル)となり小売業の利益を圧迫している。シュリンクの65%は、社内外の盗難の結果と推定されているが、一部の業態では70%以上になるところもある。

この調査は、調査参加小売業の回答に基づいており、彼らの最優先の課題は、社員と顧客の安全で、前年より万引き犯の行動がより積極的になったと回答した企業は88%にのぼる。暴力を伴う万引きの詳細をレポートした企業のうち35%は、昨年増えたとレポートしている。また、81%の回答者は、組織万引きの暴力が悪化していると述べている。ただ、これらが全てではなく、電子コマースでの詐欺、ギフトカードや現金の搾取、配達商品の盗難などの増加もあげられている。結果として、業界では盗難防止対策として、営業時間の短縮(45%)、在庫商品の調整/削減(30%)、店舗の閉鎖(28%)などを行っている。2022年で組織盗難の影響が高かった10都市は、トップがロサンゼルスで、オークランド、ニューヨーク、ヒューストン、マイアミ、シカゴ、サクラメント、シアトル、アトランタが続く。カリフォルニア州は3都市が入っており、あまり嬉しくない結果である。

組織盗難の問題を頻繁に指摘してきたターゲットは、社員と顧客の安全を高めるために9店舗を10月21日で閉鎖すると発表している。また、保安員の増強、商品ケースの施錠、社員や保安係の教育、テクノロジー活用、行政との協力、サイバーテクノロジーの強化などの対策をとると述べている。閉鎖される店舗は、ニューヨーク、シアトル、サンフランシスコ/オークランド、ポートランド地域の店舗となる。

商務省経済分析局は2023年2四半期のGDPが、3次推定で年率2.1%増加で2次推定から変わらなかったと発表した。2023年の第1四半期には2.2%増加(改訂なし)している。GDP増加要因は、住宅以外の設備投資額、個人消費、州と地方自治体の支出で、輸出の減少が相殺要因だった。輸入は減少し、増加要因となった。

第1四半期からの減速は、主に個人消費、輸出、連邦政府の支出などの減少で、相殺要因は、住宅以外の設備投資の成長、住宅投資の減少幅縮小、輸入の増加だった。

個人所得は2,396億ドル増加(74億ドルの上方修正)(前年比+5.6%)、可処分所得は2,965億ドル増加(+6.1%)(前年比9.1%増加)、個人の貯蓄は1.04兆ドル(405億ドルの上方修正)にそれぞれ改訂された。貯蓄率は5.2%に改定(0.7%上方修正)(前年同期は3.0%)された。

個人消費物価指数は2.5%増加(改訂なし)、食品とエネルギーを除く消費者物価は3.7%上昇(改訂なし)だった。

2023年第1四半期の貯蓄率も、4.8%に改訂(0.5%上方修正)された。今年の貯蓄率が過去の発表より上方修正されており、比較的強い個人消費の背景が確認された様である。逆に、第4四半期から始まる、学費ローンの返済開始の影響が大きくなる可能性がある。